オランピアソワレ プレイ感想(ネタばれ有)

オトメイト オランピアソワレ をプレイしました。久々の乙女ゲームで、どうなるか不安でしたが無事フルコンすることができました。

 

以下ネタばれ有 プレイ感想(攻略順に記載しています)

 

璃空√

 

役職や色のことを考え、ここまで彼が頑なな理由って何だろうな~と考えながらプレイしました。一般的にある種の思考に拘る人って、その思考と合わない人を差別したり、攻撃したりするのですが、彼の場合キツイ言い方をすることはあっても、攻撃することはない。寧ろ怯えみたいなものを感じているので、そこが不思議だなって思いながら、Aボタンを押していました。

 

結果から言うと、彼が自分で差別していた身分の出生だったという事実が彼の行動に影響を与えていた。出生を否定し、頑張って、その色に相応しい者、相応しい生き方を送らなければならないと自分を追い詰める日々はきっと辛かっただろうなって…だからこそ、どんな色でも等しく愛すると堂々と話す彼女がとても眩しくて、彼自身救われたような気持ちになったんだろうな…

 

終盤の自分の意志で、自分の行動を決める、これまでの「軍人だから」「青だから」とかではなく、自分の気持ちで。その決断を下すことができた彼に拍手したい。きっと怖かったと思う。きっと不安だったと思う。でもあの晴れ晴れとした笑顔は何よりも尊いもの。彼の今後の人生がものすごく楽しみ。後日譚とかあったら一番に読みたいキャラ。

 

後日談では、これまで抑圧してきた分、いろんなものが駄々洩れで愛しかったわww末永く2人で、あの巣で思う存分いちゃいちゃしててくれ…あとオランピアの髪の毛がきれいな青に染まったスチルがなかったのが残念(途中まで青くなるのはあったけど)

 

あと縁√クリアしてからこのルートについて考えると、叉梗さんたちの行動の意味も分かったので、すっきりした。

 

 

時貞√

 

彼のところにパリスという白鼠がいる。天女島での言い伝えのことを考えて、これが全てを物語っているような気もするんだけれど、そこまで掘り下げられなかったような気もするし、でもストーリーとしてはもんすごく好きだし…っていう謎の不完全燃焼を感じる√。いやすごく好きだよ、時貞。

 

我々がよく知るあの時貞と同一人物と考えて、このルートを読み解くと、これは彼の魂の救済の物語なのかな、って。

 

一つ目の世界では、彼は人々の上に立ち、ひとつの教えの下、人々を導こうとしていた。しかし志半ばに彼は一つ目の世界を去る。気が付いたら二つ目の世界におり、そこでもまた彼になにかを成すように求められる。その重圧を思うと、居た堪れない…彼にとって、「何かを変える」ということは即ち「死=処刑」とつながることだと思う。そう考えると、天供島を変えようとするオランピア達を見て、不安に思うのも、その不安を越えて行く勇気への羨望があっても不思議じゃない。

 

でも時貞は、ひどく疲れている印象を持つ。明るいんだけれど。気持ちがかなりギリギリのところまで追い詰められている。信じていた神への呪詛を吐いてしまったままなら尚更。彼の時間は恐らくあの瞬間で止まっている。だからこの島での己の役目を見つけ出せずにいた。いや、当たり前だよ、休んでよ…って何度も思いながらプレイした…

 

そしてようやく「多くの人の幸せのために頑張って来た」時貞は、初めて「一人の人として、わたしの傍にいて欲しい」と言われるのです。「天草四郎時貞」という偶像ではなく、「時貞」というかわいくて、脱いだら何故かすごい、薄荷チョコラの好きな時貞として認めてもらえるのです。ここでようやく彼は救われたんじゃないかなって思うんです。

 

もちろん「天草四郎時貞」としての彼も非常に立派だし、その教えは今でも続いている(明日羽を助けるシーン、柑南を説得するシーン等)。むしろ彼はこれまで、どんな人にも等しく愛を捧げてきたんだと思います。でも、ちょっと疲れちゃった。そんなところにマレビトとしての責務を押し付けられたら、もう逃げたくなるよ…

 

オランピアちゃんに思う存分愛されて、愛し、癒されたら、多分もっと行動的になるのかな、と今後に期待せずにはいられないキャラでした。

 

(余談)パリスが彼のもとにいる以上、彼は天女島に導かれた存在だと思う(そう思いたい)んだけれど、そっち方面の話が薄くてちょっと残念でした。オランピアちゃんと時貞、共に天供島にはやってきたばかりの新参者同士で、互いを通して島での役目を見出す過程とか、ほんと好き…

 

あの髪形、あの時のままだよね…髪が伸びた時、オランピアちゃんに切ってもらって、記憶の上書きしてもらえるといいな…時貞ァ…※特典スチルを見ると伸ばしっぱなしにしてるらしいので、多分触れられたくない箇所かもしれない…(涙が出てくる)

 

 

縁√

 

あの見た目で一人称「僕」ですからね。こりゃアおいしくなる予感しかしねえ!って思いながら挑みました。結論:他のルートに行っても、彼が話す度に「おい…?今なら間に合うぞ…?応援していないでオランピアちゃん攫っていこうぜ…?」と脳内で話しかける羽目になりました。純愛って多分これのこと。

 

彼のトレーラーを見ると「断罪/救済」と書かれているんですけども、まさにそこが丁寧に描かれていました。断罪に関しては、多分オランピアちゃんに出会わずともオランピアルートに行かずとも)、きっかけさえあればやっちゃってたんじゃないかなって思うのですが、救済に関してはオランピアちゃん、貴方なしにはあり得ない…!

 

自己犠牲精神が凄まじく、交配を禁じられ、身内と呼べる人は1人もいない以上、彼の愛は黄泉の人々に注がれます。少しでもみんながいい暮らしを送れるように、黄泉の守護者みたいなポジションに昇り詰める縁。凄まじい。紫って繊細でいて、高潔をイメージする色なので、ほんと彼にぴったりな色だなって思いました。

 

既に黄泉での役目や自分の人生の落としどころを見つけている一方で、ツクヨミから聞かされていたおとぎ話のような話に胸を躍らせるような純粋な一面を持ち合わせていた…「僕」の片鱗…ぐうっ。オランピアちゃんが貝殻のことを覚えていないことへ不満を吐露するシーンはほんと可愛かった…

 

なんやかんやあって、己の復讐を果たし、オランピアちゃんを狙う連中を退けることに成功した縁。よかったねえええ明日羽ぁあああああカメリアちゃんんんって叫んだわ…良かった…というか黄泉の者たちの扱いがしっかり描かれているの縁√ならではだよね…(泣

 

おとぎ話に夢見た男の物語。これが縁の真骨頂だと思います。

 

 

玄葉√(※最推し)

 

はい来ました。ビラール様を敬愛するわたし。お分かりでしょうが、褐色の肌に弱いんですよ。無条件で。遺伝子レベルで弱い。

 

オランピアソワレって、当たり前と言えば当たり前なんですけども、神話の色が濃く、ある種の不確実性が多く見られる作品なんですね。みんな自分が体験したことのない、聞いたことのあるだけの話に胸を躍らせたり、それによって人を差別したりする世界。それだけ神話との結びつきの深い、敬虔な人たちが多いのでしょうね。正しいか、間違っているかは別として

 

その中で玄葉は医学、科学という全く異なる理を己の柱に据えて、この世界に挑む。そんな方でした。もうこの時点でかっこいい。これほど医学という柱に拘るのは、彼自身が宗教といった抽象的思考によって理不尽な扱いを受けていたから他ならない。「黒」であるというだけで、蔑まれ、自身が持つ可能性を周りに決めつけられ…息が詰まるような日々だったと思う。そんな日々が続くとどうしても無気力状態に陥りがちだけれども、そうならなかったのは縁という友達がいたからかな、とか考えちゃう。

 

彼のその後の人生もやはり上の人たちに弄ばれる(彼が学院に入れた理由にもつながる)わけですが、その中でも強かに「生きていたほうがいい。利用できるものは利用する」という信念のもと、生き抜いていきます。多分ですけども、医学というのは身分の差問わず、どんな人にでも同じように効き目がある(=エビデンスに基づく)ものですから、ある種の厳しさを伴うけども、同時に誰に対しても平等である。玄葉はそういうところに安らぎを見出したんじゃないかなって思います。

 

また上の人に多く見られる病の特効薬。それを最下層「黒」である自分が発明することで、上の人たちを見返したいという野望も持っている。熱い。かっこいい。ここに神話という名の蓋然性の付け入る隙なんてないんですよ。エビデンスが全てなんです。

 

その一方でオランピアちゃんと言う無垢なる存在を前に、戸惑い恐れを抱くという意外な一面も。自分のせいであれほど美しい白が失われるのなら、近づかない方がいい。合理的な判断ができなくなる彼は見ていて、とても愛しかった…。でも「検証」を重ねて、オランピアちゃんのところに戻ってきてくれます(やったね!)「検証」中にオランピアちゃんが他の男に触れられたことを知って、激高するシーンはよかった…

 

特効薬を完成するところで彼の話は一旦終わるのですが、まだまだ身分や暮らしの差など、問題は山積みですが、彼が生きて、功績を残す。そのこと自体が、後に続く者たちの希望となることは間違いないでしょう。

 

黒って決してどの色にも交わらない強さを持つ色なのですが、それがまさしく玄葉を体現していると思います。彼は医学という武器で、新しく、真っ平な時代を切り開くでしょうから。FDで後日譚とか読める日を楽しみにしています…!!

 

赤砂√の終盤で玄葉が「おとぎ話と科学、どっちが勝つかやってみる」(的なこと)と話すシーンでは、ほんと痺れた…好き…多分だけど、道摩と合うよね。彼も「人は玩具ではない」と憤った方だし、淡々とやるべきこと、解決策だけに焦点を当てて、問題解決して行きそう。頼もしい。

 

 

ヒムカ√

 

攻略制限がかかっている時点でもしや?という疑惑と共にプレイ。予想通りだったけれど、それ以上の感動が待っていました…というか、神話って、時々不思議な展開を見せるじゃないですか。イザナミイザナギにしても、何で助けに行って置いていくんだよwwとか、シヴァ神とカーリー神にしても、あんな血気盛んな妻を相手にできるのはシヴァ神だけだよ…とか。

 

ちょっとだけ不思議な話が多い中、それに振り回された神について描かれたのはものすごく新鮮だなって思いました。

 

ヒムカにとって、オランピアちゃんは言葉通り「太陽」で、自分が見つめるだけで穢れてしまうのでは、と危惧していたわけですが、オランピアちゃんは女神でもない。ただの女の子。ヒムカがそのことを悟る船の上でのシーンはゆっくり眺めてしまった…

 

多分彼は気が遠くなるような時間の中、誰とも関わらず、誰とも触れず、ただ世の移ろいを眺めてきたんだと思います。ただただ太陽に恋焦がれて。そんな中初めて触れたのがオランピアちゃんだと思うと、涙が…良かったなあ、ヒムカ。

 

ひとつのおとぎ話のように美しく、読んでいるこちらが救われるような、優しい話でした。人智を越えた世界の話だけれども、ヒムカはひたすらに愛を求め、その結果愛し、愛されたわけだから、やっぱり後世の人々に希望を与えると思う。ましてや色層にこだわる人たちなら尚更「ヒムカ様が我々に色を与えてくださったのはこのような意図から…?」と気付くきっかけにもなるだろうし。

 

いや、伝承になる前に、もう彼らがその世界を変えるだろうけれどね。変えなければならない。それが彼が作った世界への責任の果たし方だろうな…ねえやっぱりFD欲しい…ヒムカのひたむきさを応援したいの…応援させてくださいな…。

 

一度やってしまった以上やり直しはきかないと思いがちだけれども、その重圧に負けず、新しい時代を選び取った。そんな愛しいふたつの魂の話です。

 

 

赤砂√

 

攻略制限に次ぐ攻略制限が設けられていたこの方。ヒムカ√でなんとなく、彼の血が持つ「罪」について悟りつつプレイ。

 

最初から彼が言っていますが、「運命などくそくらえ」。この一本筋がピーンと通った気持ちのいい話でした。いやほんと、この言葉に始まり、この言葉に終わったね?これ以上語ることがないんだけれども、どうしたらいい???だって彼一切迷っていないんですもの、脇目も振らず、時代を駆け抜けている。だからこそこんなにも多くの人に慕われるんだろうなって。

 

むしろ彼の√では、道摩殿が…その…ダークホースと言うか…最初から「この人オランピアちゃんにただならぬ執着見せてんなあ…」って言う感じの、過保護キング(本人無自覚)でしたが、「はーーーーーい、その告白待ってましたーーーー」って感じでしたよね。ある方には既にバレてたようだし、うん、あの、見ただけで考えていることすぐバレるところとか娘とそっくりだと思うよ。ほんと。かわいい…

 

あとこの√でこの島の成り立ちとか、神々のいざこざとか判明するわけですが(一応ヒムカ√でも触れている)、それを「くそくらえ」と一蹴するのが赤砂です。いやあ、清々しい。あと個人的に、最後あの刀折ると思っていました。「こんな刀くそくらえだ!!」って言って。手元に置いておくのは、「彼女を殺めるため」ではなく、「守るため」の刀にしておきたいから?とか、考えちゃいました。赤砂殿、なんで手元に置いてあるのか、今後機会があったら教えてください。

 

赤砂√でオランピアソワレの神話の正体についてはある程度判明するわけですが、赤砂は死に水に入っても元気だったのは何で?など、ちょっとした疑問は残りますが、「くそくらえ」根性でどうにかしたのかもしれませんね。はい。あとこの√のスチルかっこいい。

 

 

総評

 

久々の乙女ゲーム。ほんと楽しめました!シリアスパートと恋愛?乙女?イチャイチャ?パートのメリハリもはっきりしていて、飽きることなく最後まで楽しめました。5人のキャラクターそれぞれの色がちゃんと前面に出ていたので、同じような話はなく、それぞれの個性を楽しめる作品になっていると思います。

 

一部の方にとっては、メインキャラよりもサブキャラがツボにハマるかもしれない(わたしがそう)作品です。黄の彼とか、橙の彼とか、黄の長とかね

 

サブキャラに関しては各√をクリアしないと全貌が分からない方もおり、それでも疑問に残る点が多いので、ほんとそのキャラ専用の√が欲しいと思いました。切実に…